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戸田徹郎司法書士劇場

佐賀の戸田徹郎 司法書士事務所のつれづれです。

前回の続き

前回のヒキからまたまた更新が遅れまして申し訳ございません・・・

家庭持ちになると業務以外も何かとやることが多い昨今です(=_=;)

 

さて、では前回の続きですが(何の話かは前回ブログ参照でお願いします)、最初に言っておきますと、今回は内容がマニアックで司法書士の受験生か業務経験者ぐらいしか理解が難しい内容となっておりますので、その他の方は雰囲気だけでも味わって頂ければと思います(^_^;)

 

それで、根抵当権の指定債務者合意の登記に続く登記ですが、内容は「債務引受による債務者変更及び被担保債権の範囲の変更」の登記が必要となる場合の話です。

根抵当権債務者甲が亡くなって、甲の相続人A・B・Cがいる場合に、指定債務者をAとして合意の登記を行った後に、当該根抵当権の被担保債務となっている相続債務を、BCの分もAが全て引き受けるといった場合に必要な申請です。(難しい・・)

 

登記の目的「〇番根抵当権変更」、原因「年月日変更」

変更後の事項「債権の範囲

       銀行取引・手形~・小切手~

       平成〇年〇月〇日債務引受(旧債務者B・C)にかかる債権

       平成〇年〇月〇日相続によりAの相続債務のうち変更前根抵当権の被担保債権の範囲に属するものにかかる債権

      

       債務者  住所  A 」

という申請内容になります。

 

変更後の事項の書き方がなかなかマイナーな申請なのですが、まあ書式自体は書籍に載っているからいいとして、何故この申請が必要になるのか&何故この変更後の事項の書き方になるのかを論点として事務所内協議しておりました。

 

まあ正直一度でもこの申請を出したことある人にとっては当たり前の内容かもしれん話ですが、僕はまだ出したことなかった&金融機関(根抵当権者)もこの申請の詳細を把握していない様子だった、ので、金融機関側に説明するにはしっかりした理解が必要であったというお話です。

 

まず、何故に債務引受いるの?指定債務者の合意登記のみでダメなの?ってところでしたが、結論は、Aのみが甲の相続債務を引き受けるというのであれば合意の登記のみでは足りません。

相続債務は可分債務なので、相続発生と同時に当然に相続人に承継されます。この時点では各相続分に応じた連帯債務扱いとなりますが、遺産分割協議で一部の相続人が債務を引受けるとした場合は、債権者の承諾があるのであれば一部の相続人が引受OKという民法上のお話があります。

これを根抵当権の被担保債務で考えた場合、根抵当権者(債権者)の承諾があれば相続人Aのみが甲の相続発生時までの当該根抵当権の被担保債務(債務者甲)を引き受けることが可能となり、そのことを登記簿上明確にするために、上記の根抵当権変更の申請が必要となります。

 

根抵当権の性質上(枠貸し)、事業用での貸し付け債権等が被担保債権になっていることが多く、甲が事業者である場合、甲の事業自体を承継するAが甲が借り入れた事業用貸付金の返済義務を負い、甲の事業と全く関係していないBCはその返済義務から離脱したいといった場合に、こういったことをする必要があります。

 

指定債務者合意の登記のみでは、甲の相続発生後の指定債務者Aと根抵当権者間の取引債務はAのみ返済義務を負うことになりますが、甲の相続発生前の債務者甲の被担保債務はあくまで相続人全員の連帯債務となります。

甲の事業に全くかかわらないBCとしては、相続人というだけで甲の債務の返済義務を負い続けるのは嫌~!!って話になりますよね。

だから事業承継者のAにその相続債務を引き受けて貰おうという内容です(難しい・・・)

 

じゃあ結果債務者がAだけになるなら、指定債務者の合意なんかせずに直接債務者をAとする変更をすればよくない?とも一見思いますが、「指定債務者の合意」は、あくまで債務者の相続発生時に既にある根抵当権を確定させないために必要な登記と理解すればいいのかなと思います。

相続発生後6カ月以内に合意の登記をしなければ相続開始時で根抵当権は確定し、確定後の債務者変更は債務引受など以外はできないので、事業を承継するAが債務者となって新たに金融機関と取引する場合は再度根抵当権設定が必要となり、設定の登録免許税が勿体ないということになります。

 

ここまでで、変更後の事項の記載内容の「平成〇年〇月〇日債務引受(旧債務者B・C)にかかる債権」と「債務者 住所 A」の意味は分かると思いますが、もう1つ 

何故「平成〇年〇月〇日相続によりAの相続債務のうち変更前根抵当権の被担保債権の範囲に属するものにかかる債権」の記載が必要になるかを紐解くと、

これは指定債務者の合意と切り離して、単純に根抵当権の債務者の変更」と考えると分かります。

根抵当権の性質上、根抵当権の債務者が変更となった場合、変更前の債務者の債務は一切担保されないこととなり、変更後の債務者の債務は「今後発生する債務」及び「既発生の債務で根抵当権の債権の範囲に属するもの」が当該根抵当権で担保されることとなります。

なので根抵当権の被担保債権となっていた甲の相続債務としては、法定相続分で承継と考えると、BC分(2/3)平成〇年〇月〇日債務引受(旧債務者B・C)にかかる債権」の記載で、A分(1/3)が「平成〇年〇月〇日相続によりAの相続債務のうち変更前に根抵当権の被担保債権の範囲に属するものにかかる債権」の記載で、債権の範囲に属する既発生の債務ということになります(難しい・・・・)

 

ということなので、甲の相続発生時に甲の根抵当権者に対する債務は既に全て無くて、根抵当権の登記の枠だけ残していたというような場合は、この合意の登記に続く根抵当権変更登記は全く不要ということになりますね~

 

・・説明するだけで長文になりましたが、とりあえず・・まあ・・そんな感じの話をしていたという事務所の日常の微笑ましいエピソードでした・・( ̄▽ ̄;)