戸田徹郎司法書士劇場

佐賀の戸田徹郎 司法書士事務所のつれづれです。

後見制度の講習会

戸田徹郎司法書士事務所の保井一宏です。

最近、寒かったり、暑かったりと体調を崩しやすい中途半端な気候ですね。

 

今日は後見制度について、佐賀県司法書士会で家庭裁判所書記官、社会福祉士司法書士による講習会が開かれました。戸田事務所でも後見開始の審判の申立ての依頼があり、直接後見実務を扱う方々の声に耳を傾けてまいりました。

 

後見制度の根幹を認識するとともに、家庭裁判所での後見開始の申立時のこと、後見開始後のこと、社会福祉士司法書士の後見実務の取り扱いや実際にあった事例に沿ってどのような事柄に注意すべきかなど直接聞くことができ、有意義な時間になりました。

 

私が一番印象に残った社会福祉士の先生が実際に取り扱った事例で、、長女が意思疎通は概ね可能だが、身体障害者1種1級の手帳を保有し、褥瘡(とこずれ)の悪化の繰り返しにより医療機関や福祉施設、自宅を行き来している父母と9人の子供計11人家族のお話です。

 

長女の面倒を見るために父母は定職につけず、日雇いの仕事で食いつないでいる。

生活に困窮し、自宅内の衛生環境も悪くこのままでは長女の身体状態の改善も見込めない。

そこで、長女の後見開始の審判を申立をし、後見開始の審判がなされ社会福祉士が後見人となり、被後見人である長女は環境の良い福祉施設に入所し、後見人が障害者年金を管理することにより、その障害者年金に依存していた家族の生活費としてではなく、本来の使用目的である長女の福祉のために使うことができるようになりました。

 

それに伴って、長女の面倒を見るために定職に就くことができなかった父母も、長女の自宅介護から解放され、2人とも定職に就くことができ、長女に後見人が就いたことにより当該11人の家族の生活環境も、今後の父母の努力によって改善される方向に向かうことができたというお話でした。

 

後見制度は被後見人を守っていく制度であることは当然のことですが、被後見人の家族の生活環境の改善や扶養義務者の負担軽減など、被後見人を取り巻く人々のためにも有益なものであると思います。

 

本日の佐賀県司法書士会で開催された後見制度の講習会に携わった皆様お疲れ様でした。